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業界初、ドライプロセスで撥水・親水の反復効果を実用化 真空プラズマ装置「フリップフロップコーターFFC-400M」を開発

新工場での新事業の柱に

 

プラズマ装置を開発販売する株式会社 魁半導体(京都府京都市下京区、代表取締役 田口貢士)は、業界初のドライプロセス(乾式)のプラズマ処理によって、空気中では撥水性、水中では親水性に転じる薄膜を生成する真空プラズマ装置「フリップフロップコーターFFC-400M」を開発しました。 高い防汚防水効果がある成膜技術で半導体関連ではフレキシブルデバイスの長寿命化が期待できます。この研究成果を3月25日に応用物理学会で発表、本装置と生成した薄膜に係る特許を出願中です。本装置は来年に竣工予定の当社新工場の新規事業用として使用、今月からテストマーケティングを実施します。

 

■汚れをはじいて、水だけで流れ落ちる

空気中で撥水性、水中では親水性に転じる現象は「フリップーフロップ現象」と呼ばれます。液層で成膜するウェットプロセス(湿式)では同効果の成膜技術はありますが、プラズマ技術などドライプロセスとしては当社が業界で初めて成功しました。当社は成膜研究の中で特定条件によって撥水と親水を反復する成膜技術の確立に成功、専用プラズマ装置「フリップフロップコーターFFC-400M」を開発しました。本装置で成膜した対象物は高い防汚、防水、防油効果があり、乾燥付着した汚れも水だけで落ちます。タッチパネルやレンズ、屋外使用の部材、繊維など幅広い用途が期待されます。ウエットプロセスでは凹凸部分にコーティング剤が埋まるなど成膜の厚みにバラつきが出やすいとされていますがプラズマ処理では均一な厚みの成膜が可能です。また溶液が要らないので環境負荷低減と同時に管理コストが削減できます。本成膜はフレキシブルディスプレイなどフィルムの長寿命化に繋がり有機デバイスの実用化の加速に貢献すると期待しています。

 

<フリップフロップコーターによるプラズマ処理後のガラスの接触角の変化>

 

 

 

 

 

 

 

■新工場での受託事業へ

当社は2023年に京都市内に新工場の開設を計画、クリーンルームに当社の真空・大気圧など各種プラズマ装置やモニタリングセンサ等、計測機器等を設置します。この新工場では新規事業としてプラズマ処理の受託事業を開始する予定です。新開発の「フリップフロップコーターFFC-400M」は装置本体の販売予定はありませんが、新工場に設置し業界初の撥水と親水を反復する成膜の受託処理をスタートし新事業の柱の1つにする考えです。今月から幅広い分野で「フリップフロップコーターFFC-400M」での成膜のトライアルを行い、新事業に向けてのテストマーケティングを開始します。

この成膜技術は抗菌効果の可能性もあり、他社との共同研究などで検証を進め、新たな用途への展開をはかりたいと考えています。

 

■装置と受託処理対象物

[装置名称]  真空プラズマ装置「フリップフロップコーターFFC-400M」

[特 徴]   均一なコーティングによる高い防水・坊油・防汚効果。

[対象物サイズ] 最大A5サイズまでを想定。(今後拡大予定)

[ターゲット材] ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)※本装置専用材

[用 途]  タッチパネルや屋外使用の部材等のコーティング

※真空プラズマ装置「フリップフロップコーターFFC-400M」は当社の受託処理専用装置です。

 

■第69回応用物理学会春季学術講演会(ハイブリッド開催)https://meeting.jsap.or.jp/

会期)2022年3月22日(火)~26日(土)

会場)現地:青山学院大学 相模原キャンパス、オンライン:Zoom

魁半導体 発表)3月25日 15:45~ (講演番号25P―E104―11)

 

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