業界初、液体原料で安全に成膜する新CVD技術を開発 直接気化式-薄膜形成装置「DH-CVD」9月21日発売
プラズマ装置を開発販売する株式会社 魁半導体(京都府京都市下京区、代表取締役 田口貢士)は、プラズマによる新しい成膜技術を開発、専用の直接気化式-薄膜形成装置「DH-CVD」を 2022年9月21日に発売します。半導体の生産工程で使用される成膜法「プラズマCVD」の新しい技術を提供する装置です。従来の気化原料でなく液体原料を使用するため取扱いが容易になり安全で効率的な生産に繋がります。原料となる溶液は専用の配合液を当社から販売します。この技術の基盤となる研究成果は2022年9月23日に応用物理学会で発表します。
■業界初、液体原料から直接成膜する安全な新プラズマCVD
半導体産業での成膜に多く使用されるプラズマCVDでは、膜の材料である液体原料をまず処理槽外部で気化して供給し、そのガスからプラズマ処理による化学反応で膜を生成します。当社新技術では気化させる工程(機器)の必要がなく、原料から直接プラズマ装置「直接気化式-薄膜形成装置DH-CVD」に供給し成膜します。液体成分の揮発性を利用した当社の新技術で、二価アルコール(ジオール)以上のポリオールと膜の原料液含有の組成物(溶液)を当社から販売します。溶液から直接成膜するCVD技術は前例がなく、当社が業界で初めて実用化しました。
【写真】直接気化式-薄膜形成装置 「DH-CVD」(オプション付)
[膜の種類]
・炭化水素膜
・酸素and/or窒素含有炭化水素膜
・金属酸化物系(化合物含む)(Si,Ca,Al,Ti,Zr,etc)
■安全で生産効率が向上
CVDの成膜工程、例えば最近注目される次世代太陽電池「ペロブスカイト太陽電池」の生産では有機金属系原料のガスを使用し成膜しますが、気化した有機金属系は取扱いが難しく危険とされています。当社は安全な成膜法の研究において液体成分の揮発性に注目し新技術開発に成功しました。従来よりも安全性に配慮した生産が実現、液体を気化する工程も不要なため生産効率の向上も期待されます。
※「CVD」とは化学気相成長、”chemical vapor deposition”の略。半導体集積回路(IC)の製造工程の中で化学反応を利用し基板をシリコンの薄膜でコーティングする手法。ICや太陽電池の基板製造において重要な工程のひとつ。
■製品概要
[装置名称] 直接気化式-薄膜形成装置(DH-CVD)
[発 売 日] 2022年9月21日(水)
[価 格] 装置:590万円(税込み)
※成膜溶液の価格は条件等によって異なりますのでお問合せください。
[装置仕様]
型式 | 直接気化式-薄膜形成装置(DH-CVD) |
処理容器 | ステンレス鋼、アルミ合金、ガラス、PTFE製 |
放電方式 | 交流平行平板式 |
電極ステージ | ステンレス鋼製 直径400mm(オプションで変更可) |
高圧電源 | 交流(電源周波数に同期) |
出力調節 | 手動調節 |
ガス導入 | なし |
排気流量調節 | なし(オプションで追加可) |
真空計 | なし(オプションで追加可) |
タイマー | 0~9999秒の間でプラズマ照射時間を設定 |
外形寸法 | 横560mm×奥行560mm×高さ400mm(約、突起部除く) |
電源 | 電源:単相200V, 50もしくは60Hz, 15A(ポンプ用電源を含む) |
[成膜溶液]
配合液 1 | SiO2膜用溶液 |
配合液 2 |
炭化水素膜/含有元素選択炭化水素膜用溶液(ご要望に合わせたカスタム配合) |
配合液 3 | 金属酸化膜用溶液(ご要望に合わせたカスタム配合) |
■2022年第83回応用物理学会 秋季学術講演会(ハイブリッド開催)
会期: 2022年9月20日(火)~23日(金)
会場:[現地会場] 東北大学 川内北キャンパス / [オンライン会場] Zoom
魁半導体 登壇日時)9月23日 9:15~ (講演番号23a-B101-2)
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